スプレッド、ストップロス、利益目標、そしてレートの末尾で変わり続ける数字。これらはすべてpipsで数えます。FXのpipが実際に何を表すのか分からなければ、1.2 pipsのスプレッドと25 pipsのストップは、比較できないただの数字にすぎません。
何人かのトレーダーに「FXのpipsとは何ですか」と聞くと、多くは「小さな値動き」と答えるでしょう。間違いではありませんが、それは答えの半分です。重要なのは、実際に取引するポジションサイズで、その値動きが口座通貨でいくらの損失や利益になるかです。この計算を暗算できる人は多くありません。
まずpipの大きさと、MetaTraderで混同されがちなpip、ピペット、ポイントを整理します。次にpip価値の公式を説明し、最後に口座残高に関わる損益、ポジションサイズ、取引コストの計算を見ていきます。
FXのpipsとは?
pipは、通貨ペアの為替レートの変化を測る標準単位です。ほとんどの通貨ペアでは1 pipは0.0001、つまり小数点以下第4位で、1%の1/100に当たります。EUR/USDが1.1245から1.1246に動いたら、それが1 pipです。スプレッド、ストップ、取引結果は同じ単位を使います。
名称は通常「percentage in point」の略とされますが、「price interest point」という説明もあります。では、FX用語のpipは日々の取引で何のために使うのでしょうか。共通の物差しとしてです。EUR/USDは1付近、USD/JPYは100を超える水準で取引されるため、共通の単位がなければ両者の値動きを感覚で比較するしかありません。
少し歴史を振り返ると、現在の混乱が理解できます。かつてpipはディーラーが提示する最小の値幅でしたが、ブローカーが端数付きのレートに切り替え、桁を1つ追加しました。そのため、1.1245ではなく1.12452と表示されます。この5桁目はpipの一部です。
通貨ペア・取引商品ごとのpipの大きさ
ほとんどの通貨ペアではpipは小数点以下第4位(0.0001)ですが、JPYを含むペアやHUFのように1単位の価値が低い決済通貨では第2位(0.01)です。1円や1フォリントが、1ドル、1ユーロ、1ポンドのごく一部に相当するためです。リアルタイムのレートで見つけるには、小数点以下の桁を数えるのが最も簡単です。1.12452ならpipの位置は5、158.385なら8です。
| 商品区分 | 銘柄例 | レートの表示形式(仮定の価格) | pipの位置 | pipの大きさ |
|---|---|---|---|---|
| 主要通貨ペア | EUR/USD | 1.12452 | 小数点以下第4位 | 0.0001 |
| USDが基軸通貨のペア | USD/CAD | 1.37215 | 小数点以下第4位 | 0.0001 |
| JPYを含むペア | USD/JPY | 158.385 | 小数点以下第2位 | 0.01 |
| JPYを含むクロス通貨ペア | EUR/JPY | 177.734 | 小数点以下第2位 | 0.01 |
| 金CFD | XAUUSD | 4,134.18 | ブローカーが設定 | 通常は0.01または0.1。契約仕様を確認してください |
| 株価指数CFD | US500 | 6,850.2 | ブローカーが設定 | ブローカーが設定。契約仕様を確認してください |
同じ口座で取引されることも多い金、株価指数、エネルギー、暗号資産のCFDは事情が異なり、共通のpipはありません。各ブローカーが価格の刻み幅を設定し、プラットフォーム上のpipの意味を契約仕様で定めます。計算する前に、対象銘柄の仕様を開いて確認してください。
pip・ピペット・ポイントの違い
ピペットはpipの10分の1で、ほとんどの通貨ペアでは小数点以下第5位、JPYを含むペアでは第3位です。多くのブローカーが提供する個人向けプラットフォームMetaTrader 4と5には、さらに「ポイント」という単位があり、表示レートの最後の桁の1刻みを指します。MQL5 Referenceの銘柄プロパティに関する説明(SYMBOL_POINTとSYMBOL_DIGITS)によれば、小数点以下5桁と3桁のレートでは1ポイントが1ピペットに等しく、10ポイントで1 pipになります。
| 単位 | EUR/USDでの大きさ | USD/JPYでの大きさ | 使われる場面 |
|---|---|---|---|
| pip | 0.0001 | 0.01 | ブローカーが示すスプレッド、取引計画、明細 |
| ピペット | 0.00001 | 0.001 | リアルタイムのレートの末尾。0.2 pipsなどのロースプレッド |
| MT4/MT5のポイント | 0.00001 | 0.001 | ストップロスとテイクプロフィットの距離、Market Watchのスプレッド欄 |
ここが間違えやすいところです。同じドキュメントでは、スプレッドとストップの最小距離をpipsではなくポイントで数えます。MT5で200ポイントのストップロスを入力すると、設定した距離は20 pipsです。単位を取り違えると、ストップが意図した位置より10倍近く、または遠くなります。ロースプレッド口座で0.2 pipsと表示できるのもピペットがあるためです。ただし、株価指数市場の「ポイント」は価格の整数単位であり、FXのポイントとは別のものです。
2つの価格の間のpipsを数える方法
チャート上の任意の2つの価格の間のpipsを数えるには、高い価格から低い価格を引き、その通貨ペアのpipの大きさで割ります。符号は売買方向によって決まり、買いポジションは価格が上がると、売りポジションは下がるとpipsを獲得します。つまり、FXのpipsは何でしょうか。まだ金額に換算していない、2つの価格の間の距離です。
- 通貨ペアのpipの大きさを確認します。通常は0.0001、JPYを含むペアは0.01です。
- 高い価格から低い価格を引きます。
- 差額をpipの大きさで割ります。
- 5桁目(または3桁目)をpipの10分の1として読みます。
例1:EUR/USD(仮定の価格)。 買いポジションを1.12452で建て、1.12927で決済します。
1.12927 − 1.12452 = 0.00475
0.00475 ÷ 0.0001 = 47.5 pipsの利益
例2:USD/JPY(仮定の価格)。 今度は売りで、158.385で建て、157.705で決済します。
158.385 − 157.705 = 0.680
0.680 ÷ 0.01 = 68.0 pipsの利益
pip価値とは?
pip価値とは、1 pipの値動きによってポジションの価値がいくら増減するかを、口座通貨で表したものです。通貨ペアのpipの大きさ、通貨単位数またはロットで示すポジションサイズ、結果を口座通貨に換算する為替レートの3つで決まります。
ポジションサイズはロットで表します。USDで価格が表示される通貨ペアをUSD口座で取引する場合、計算は分かりやすい比例関係になります。有名な「標準ロットなら1 pipあたり$10」はここから来ており、この条件でしか成り立ちません。通貨ペアや口座通貨を変えると、為替レートに応じて変動します。教科書の例がドルを含むペアを好むのはなぜでしょうか。習慣もありますが、その規模も理由です。BIS Triennial Central Bank Survey 2025のデータによると、2025年4月のすべてのFX取引の89%で米ドルが取引の片側に含まれていました。
| ロットの種類 | 基軸通貨の単位数 | USD口座でのEUR/USDのpip価値 |
|---|---|---|
| 標準ロット | 100,000 | $10.00 |
| ミニロット | 10,000 | $1.00 |
| マイクロロット | 1,000 | $0.10 |
| ナノロット | 100 | $0.01(すべてのブローカーが提供するわけではありません) |
ちなみに、レバレッジはpip価値をまったく変えません。必要な証拠金を決めるだけです。pip価値は、pipsで提示されたコストやリベートを金額に換算する際にも使います。BrokerFlatはすべてのリベート率を1ロットあたりの固定USD額で示すため、この換算を省けます。
FXのpip価値を計算する方法
pipの大きさにポジションの通貨単位数を掛けると、決済通貨でのpip価値が求められます。口座が別の通貨なら、現在の為替レートで換算します。同じ手順で、どの通貨ペアでも、どの口座でもFXのpip価値を計算できます。
pip価値(決済通貨)= pipの大きさ × ポジションの通貨単位数
- 通貨ペアのpipの大きさを調べます(0.0001または0.01)。
- ロット数を通貨単位数に換算します(1標準ロット = 100,000)。
- pipの大きさに通貨単位数を掛け、決済通貨でのpip価値を求めます。
- 決済通貨と口座通貨が異なる場合は、口座通貨に換算します。
決済通貨と口座通貨が同じ場合
簡単なケースです。USD口座でGBP/USDやEUR/USDを取引するなら換算は不要で、ロット表と同じ$10になります。
GBP/USD、1標準ロット:0.0001 × 100,000 = 1 pipあたり$10
基軸通貨と口座通貨が同じ場合
USD/JPY、USD/CAD、USD/CHFではドルが基軸通貨なので、pip価値は円、カナダドル、スイスフランで求められます。現在のレートで1回割ればUSDに戻せます。
USD/JPY、1標準ロット、仮定のレート158.385:
0.01 × 100,000 = 1 pipあたり¥1,000
¥1,000 ÷ 158.385 = 1 pipあたり$6.31
クロス通貨ペアとUSD以外の口座
多くの解説ではこのケースが省かれています。USD口座でEUR/GBPを取引すると、どちらも口座通貨ではありません。まずポンドでpip価値を求め、次に決済通貨と口座通貨をつなぐGBP/USDのレートで換算します。
USD口座のEUR/GBP、1標準ロット、仮定のGBP/USDレート1.3250:
0.0001 × 100,000 = 1 pipあたり£10
£10 × 1.3250 = 1 pipあたり$13.25
EUR口座でEUR/USDを取引する場合は、逆に割ります。$10 ÷ 1.1245 = 1 pipあたり€8.89です。
金(XAUUSD)のpip価値
金の損益額は、USDでの価格変化 × オンスで示す契約サイズ × ロット数です。「pip」はその上に付けた呼び名にすぎません。どちらの設定もブローカーによって異なります。契約サイズは通常100トロイオンスで、これはCOMEXの金先物契約(CME Group Rulebook、Chapter 113)の取引単位です。ただし10 ozや1 ozの契約もあり、pipもブローカーによって0.01の場合と0.1の場合があります。
100 ozの1ロットで、仮に価格が$1.00動いた場合:
1ロット:$1.00 × 100 oz × 1 = $100
0.01ロット:$1.00 × 100 oz × 0.01 = $1
同じ値動きをpipsで表すと、pipが0.01なら100、0.1なら10です。金額は変わりません。だから「金で1,000 pips」は、$10の値動きにも$100の値動きにもなり得ます。
プラットフォームのXAUUSDの契約仕様を確認すれば、両方の数値が分かります。
pip価値が時間とともに変わる理由。 口座通貨が決済通貨と異なる場合、pip価値は為替レートに応じて変動します。USD/JPYの1標準ロットなら、仮定のエントリー時は¥1,000 ÷ 158.385 = 1 pipあたり$6.31、仮定の決済時は¥1,000 ÷ 150.000 = $6.67です。
pipsではなくリベートを計算するなら、FXリベート計算機で実際のロット数と取引回数を使って計算できます。
pipsで損益とポジションサイズを計算する
ここでpip価値は2つの役割を果たします。取引でいくら利益や損失が出たか、そしてストップロスの損失額が許容額を超える前にどの大きさのポジションを建てられるかを示します。ポジションサイズの計算は、ストップ位置での計画損失を制限するためのもので、取引の勝率を変えたりリターンを高めたりするものではありません。実際の取引の前に、デモ口座で両方の計算を練習すると役立ちます。
損益 = 値動きのpips × 1ロットあたりのpip価値 × ロット数
利益が出る場合:EUR/USDを0.5ロット買い、価格が47.5 pips上昇します。
47.5 × $10×0.5=+$237.50
損失が出る場合:同じポジションで価格が30 pips下落します。
−30 × $10×0.5=-$150.00
- この取引で許容する最大損失を決めます。
- ストップロスまでの距離をpipsで設定します。
- 通貨ペアと口座通貨に対応する1ロットあたりのpip価値を求めます。
- リスク額を(ストップ距離 × 1ロットあたりのpip価値)で割ります。
仮定の数値での例です。口座残高$5,000、リスクを例として1%に設定すると$50です。EUR/USDのストップ距離は25 pips、pip価値は1ロットあたり$10とします。
$50 ÷ (25 × $10) = 0.2ロット
pipsで取引コストを測る
スプレッドは毎回の取引でpipsとして支払います。ロースプレッド口座には手数料もあります。手数料をpip価値で割ればpipsに換算でき、さらにpip価値を使って両方を金額に直せます。また、経済指標カレンダーの重要ニュース前後では変動スプレッドが広がることがあり、ロールオーバーを超えて保有するポジションのスワップは別途発生する持ち越しコストです。
| コスト項目 | 提示方法 | EUR/USDの標準ロットあたりの例(pips) | USDでの例 |
|---|---|---|---|
| スプレッド(スプレッドのみの口座) | pips。買値と売値に含まれます | 1.2 | $12 |
| スプレッド(ロースプレッド口座) | pips。買値と売値に含まれます | 0.2 | $2 |
| 往復取引の手数料 | 1ロットあたりの金額 | 0.7 | $7 |
| 合計:スプレッドのみの口座 | 1.2 | $12 | |
| 合計:ロースプレッド口座 | 0.9 | $9 | |
| 1ロットあたりのリベート(仮定) | 1ロット・往復取引あたりの固定USD額 | 0.3 | $3 |
| リベート後の実質コスト | 0.9(スプレッドのみ)/ 0.6(ロースプレッド) | $9 / $6 |
数値はすべて仮定です。FXリベートは、これらの取引コストの一部をロットごとに還元します。例えばブローカーが1ロットあたり$3を支払う場合、EUR/USDでは$3 ÷ $10 = 0.3 pipsです。ロースプレッドの欄では、往復取引のコストが0.9から0.6 pipsに下がります。実際の還元率はブローカー、取引商品、口座タイプによって異なります。BrokerFlatの提携ブローカーで確認してください。
リベートはコストを下げますが、戦略が利益を生むかどうかは変えません。
まとめ:pipが口座にとって意味すること
要点をまとめると、ほとんどの通貨ペアではpipは小数点以下第4位、JPYを含むペアでは第2位です。小数点以下5桁と3桁のレートでは、ピペットやMT4/MT5のポイントはその10分の1に当たります。CFDではブローカーの契約仕様が基準になります。
pip価値はpipsを金額に換算するためのもので、pipの大きさ、ポジションサイズ、口座通貨への為替レートから求めます。この数値を正しく出せれば、損益、一定のリスクに対するロット数、往復取引ごとのコストも計算できます。
pipの金額が分かったら、スプレッドのどのくらいが還元されるか確認しましょう。ロット数と1日の取引回数をBrokerFlatのFXリベート計算機に入力すると、月間と年間のリベートがUSDで表示されます。


